「店の味が出ない最大の原因は、ソースのベース選びではなく肉汁の扱い方にあります」――都内のフレンチレストランで料理長を務めるシェフは、そう語り始めた。専門店のソースと聞くと、フォンドヴォーや珍しいハーブ、長時間の煮込みが必要だと思われがちだ。しかし、実際に必要なのは台所に常備されている基本調味料と、焼き上げた肉から滲み出る肉汁だけだという。
シェフが明かした極秘の黄金比率は「醤油3:みりん2:酒2:赤ワイン(または酢)1」。ここに、すりおろした生ニンニクと微量のバターを足し、フライパンに残った肉汁とともに一気に煮詰める。ポイントは、肉をアルミホイルで休ませている間に出た「旨味の結晶」とも呼べる肉汁を残さずフライパンに投じること。これだけで、肉の旨味が何倍にも増幅された濃厚で深みのあるソースが完成する。わざわざ特別な材料を買う必要は一切ない。