なぜ人々は、好物だったはずのステーキや寿司、チーズを手放してまでヴィーガンを選ぶのでしょうか。国内外の当事者への取材や各種意識調査を総合すると、理由は主に以下の3本の柱に集約されます。
1. 動物倫理と福祉(エシカルヴィーガン)
英国ヴィーガン協会が「屈強なヴィーガン」と評した哲学者トム・リーガン(Tom Regan)の著書『The Case for Animal Rights(動物の権利論)』は、動物倫理運動の基盤として今なお読み継がれています。近代的な工場畜産における過密飼育や強制授乳、オスのヒヨコの殺処分といった現実に直面し、「動物たちを人間の消費財として扱いたくない」という強い共感からエシカルヴィーガンを選ぶ人々が少なくありません。
2. 地球温暖化対策とSDGs(環境ヴィーガン)
国際連合食糧農業機関(FAO)などの公表データによると、世界の温室効果ガス排出量のうち約14.5%が畜産業に起因しています。牛などの反芻動物が出すメタンガスや、広大な飼料畑を確保するための森林伐採、膨大な水資源の消費は地球環境への深刻な負荷となっています。「1人が週に1日だけ菜食にするだけでも相当なCO2削減になる」という気候変動への危機感が、若年層を中心にヴィーガンを選択する動機となっています。
3. 健康維持とアスリートの実践(ダイエタリーヴィーガン)
ハリウッド俳優やトップアスリート(陸上競技選手やプロテニスプレーヤーなど)がヴィーガンを公言し、優れたパフォーマンスや疲労回復スピードの向上を発信したことも大きな契機となりました。過剰な飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を抑え、腸内環境を整えることで生活習慣病リスクを低減させたいという健康上の動機から始めるケースも目立ちます。