完成度の高い作品を手にするために、工具への投資を惜しんではならない。手持ちの簡易工具だけで強引に作業を進めると、コインの繊細なデザインが潰れたり、歪みが生じたりして台無しになるからだ。プロの彫金師が愛用するツールには、それぞれ明確な役割が存在する。
まず不可欠なのが、硬貨の中心をブレずに打ち抜く専用のコインパンチキットだ。中心軸がコンマ数ミリずれるだけで、リングの肉厚が不均一になり、拡幅時に致命的な歪みを生む。続いて、穿孔した硬貨の開口部を滑らかに整えるバリ取り用のパイプリーマーや三角刀。そして、リングの形状へと滑らかに引き伸ばすためのリングストレッチャーと減径用サイジングダイスが要となる。これらに加え、金属を軟化させるガスバーナー、打撃傷を防ぐウレタンハンマー、最終仕上げのためのコンパウンドや研磨バフを揃えることで、自宅のアトリエ化が完了する。