本作のバックボーンを支えるのは、鬼才と称された伝説の棋士・阪田三吉の凄絶な生涯である。極貧の生活と闘いながら、型破りな独創的スタイルで既存の権威に挑み続けた男の存在感は、激動の時代を生きる現代人の胸にも強く訴えかける。
今作が目指すのは、単なる将棋対局の記録映像ではない。人間味あふれるヒューマンドラマとしての深みだ。重厚な時代劇の伝統的な佇まいを残しながらも、極端な誇張を削ぎ落としたスタイリッシュなリアリズムを追求。一筋縄ではいかない人間の業や、破天荒な夫を支え続けた家族の熱い絆が、圧巻の質感で描かれていく。