育成の現場を訪れると、静寂の中に響く力強い蹄音が空気を震わせる。かつて施設面での優劣が囁かれた育成環境は、ここ数年で一変した。千歳に新設された全天候型坂路は、勾配とウッドチップの質を極限まで突き詰め、競走馬の体幹を科学的に鍛え上げる仕組みを備えている。
従来の坂路と異なり、北海道の厳しい冬場でも天候によるコンディション変化がほぼゼロ。これにより、一年を通して狂いのないトレーニングメニューの消化が可能になった。上がり3ハロンの切れ味が劇的に改善された理由はここにある。「直線で手前を替えた瞬間の反応がまるで違う」と若手騎手も声を揃える。実戦のタフな流れでもへこたれない心肺機能は、まさにこの坂路が生み出した産物だ。