尾崎紀世彦さんの私生活は、華やかなステージの裏で波乱に富んだものでした。祖父が英国人であるクォーターとして生まれ、異国情緒漂う端正な顔立ちとダンディズムで知られた尾崎さんですが、生涯で2度の結婚と離婚を経験しています。
1人目の妻は、ハワイ出身の一般女性・ベティさんでした。国際結婚となったこの家庭で長男・尾崎紀世彦Jr.さんと長女・良奈(らな)さんが誕生。ハワイの豊かな自然とカルチャーを愛した尾崎さんにとってかけがえのない安らぎの場でしたが、多忙な芸能生活や拠点のズレから最終的に離婚を選択します。その後、2人目の女性と再婚し子どもをもうけるも、こちらも後に別離に至り、晩年は独身として暮らしていました。
一見すると家族が離散したかのように捉えられがちですが、血を分けた子供たちとの精神的な紐帯は途切れていませんでした。現在、長男の尾崎紀世彦Jr.さんは一般社会で確固たる基盤を築きながら、偉大な父親が残した楽曲の著作権管理やメモリアル事業に誠実に関わっています。関係者の証言によると、Jr.さんは風貌や佇まいに父親の面影を強く宿しており、父が命を削って残した歌声を後世に正しく届けるための舵取りを静かに担っています。