ビジネスの議論や日常会話で「話の位相が合わない」「位相がずれている」という表現が使われるケースが増えています。物理学の「波のズレ」から転じ、議論する前提条件、視座の高さ(抽象度)、対象とする時間軸が噛み合っていない状態を指す比喩表現です。
単なる「意見の対立(賛成か反対か)」ではなく、「そもそも見ている次元やレイヤーが違う」という場面で使われるのが特徴です。
典型的な実例として、次のようなすれ違いが挙げられます。
- 視座(レイヤー)の位相ズレ:経営陣が「今後5年間の事業ポートフォリオ再編」という全体戦略を議論している場で、現場担当者が「来週の販促ツールのデザイン」という戦術レベルの細部に終始してしまう。
- 目的と手段の位相ズレ:「売上向上をどう達成するか」という大目的を話しているはずが、いつの間にか「特定のITツールの導入可否」に論点がすり替わっている。
- 時間軸の位相ズレ:長期的なブランド構築の議論に対し、当期の短期コスト削減の視点だけで反論してしまう。
会議を円滑に進めるためには、「議論の位相を合わせる(=まずは抽象的な方針を固め、その後に具体策へ移る)」といったファシリテーションが役立ちます。相手を不用意に否定せず、「見ているレイヤーの違い」を客観的に指摘できる点がこの言葉の利点です。