ここにあるのは、本を借りて返すだけの無機質なカウンターではない。館内の一角にある「おはなしのへや」では、小さな子どもたちが靴を脱いで絵本の世界に浸り、すぐ隣のギャラリースペースでは市民による写真展やアート展示が定期的に開催されている。公共図書館が地域コミュニティ拠点として機能するとき、街にどんな活気が生まれるのかをこの場所は鮮やかに証明している。
高齢者が新聞を広げて世間話に花を咲かせる傍らで、高校生が試験勉強にペンを走らせる。仕切りで過剰に分断するのではなく、緩やかな家具の配置によって異なる世代が同じ屋根の下で気配を共有する。この絶妙な距離感こそが、居心地の良さを生み出す真の理由だろう。本を媒介にして人と街が有機的につながる仕掛けが、館内のいたるところに散りばめられている。