大自然に抱かれた西吉野村で、4人姉妹の末っ子として伸び伸びと育った尾野真千子さん。幼少期は山を駆け回り、木登りや川遊びに興じるおてんばな少女でした。この幼少期に培われた泥臭さや飾らない素朴さは、後の演技スタイルにおける大きな武器となります。
『萌の朱雀』での世界的成功を収めたものの、中学校卒業後は奈良県立高取高等学校へ進学し、学業に専念。高校卒業のタイミングで本格的に女優の道を志し、強い決意を胸に単身上京しました。
しかし、東京での生活は順風満帆ではありませんでした。地方出身の無名女優としてオーディションを受け続ける日々が続き、不採用通知を受け取ることも日常茶飯事。生活費を工面するために複数のアルバイトを掛け持ちしながら、狭いアパートで先の見えない不安と戦う日々が数年間続きました。
転機となったのは2007年、再び河瀬直美監督とタッグを組んだ映画『殯の森』です。同作が第60回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したことで、映画関係者や批評家から「やはり尾野真千子の芝居は本物だ」と再評価される契機となりました。