鎮静剤を用いた胃カメラ検査を受けるにあたり、最も受診者が軽視してはならないのが「検査当日の運転制限」と「厳格な飲食管理」です。
内視鏡検査当日は、自家用車・バイク・原動機付自転車はもちろん、自転車の運転も終日禁止されます。これは単なる医療機関の努力目標ではなく、道路交通法第66条(過労運転等の禁止:麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、精神安定剤等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転禁止)に直結する法的・安全管理上の重大要件です。
鎮静薬の主作用が切れて本人の主観では「完全に頭がスッキリ目覚めた」と感じていても、体内には微量の薬剤成分が長時間残留しています。これを医学用語で「ハングオーバー効果(持ち越し効果)」と呼び、無意識下で空間認識能力、瞬間的な判断力、ブレーキを踏み込む反射速度が著しく低下しています。実際に検査直後に自走して交通事故を起こした事例が複数報告されており、医療機関では公共交通機関やタクシーでの来院、または家族による送迎を厳命しています。
また、食事制限についても徹底したルールが存在します。胃内に食物残渣が残っていると微小な病変が見落とされるだけでなく、鎮静剤投与中に胃内容物が逆流して気管へ流れ込み、窒息や重篤な誤嚥性肺炎を引き起こす致命的リスクがあるためです。
前日は夜21時までに消化の良い食事を済ませ、以降は絶食。当日は検査の2〜3時間前まで水や薄いお茶などの透明な水分摂取のみが許可されます。検査終了後も、喉の局所麻酔が切れて嚥下反射が正常に戻るまで最低1時間は飲食禁止となり、少量の水を口に含んでむせないことを確認してから通常の飲食へと戻す手順が必須となります。