「尾てい骨が折れていても、どうせギプスを巻けないなら病院に行っても同じではないか」と考える方が少なくありません。しかし、整形外科での正確な画像診断は、予後を左右する重大な意味を持っています。
画像検査の実際:レントゲンとCT・MRI
受診時には、まず骨盤および尾骨のX線(レントゲン)撮影を行います。尾骨は腸管内のガスや便と重なりやすいため、正面像だけでなく「側面像(横向きの撮影)」が骨折や前方への弯曲角(転位)を確認する上で極めて重要です。微小なヒビや仙尾関節の脱臼が疑われるもののX線で判然としない場合は、CTやMRIによる精密検査が選択されることもあります。
手術や入院は必要なのか?
尾てい骨骨折の95%以上は外来通院による保存療法で完治を目指します。尾骨は四肢の骨のように体重を支える骨ではないため、ギプス固定を行わずとも、日常生活の負担を減らすことで自然に骨癒合が進むためです。
例外的に手術や入院が必要となるケースは以下のような限定的な状況に限られます。
- 骨片が直腸側に大きく入り込み、消化管損傷や排便障害を引き起こすリスクがある場合
- 痛みが極めて激烈で、自力での歩行やトイレ移動が完全に不可能な初期段階の短期管理入院
- 受傷後半年以上が経過しても骨片の偽関節化や頑固な疼痛が治まらず、最終手段として尾骨摘出術を検討する場合
大半の症例では過度な不安を抱く必要はありませんが、「骨がどの方向にどれくらいズレているか」を把握しておくことが、後遺症を防ぐ最大の防御策となります。