すべての始まりは2008年7月11日、日本国内で初となるApple製スマートフォン「iPhone 3G」が発売された歴史的な日に遡ります。当時の日本市場では、いわゆるガラケー(従来型携帯電話)が独自の進化を遂げて全盛期を誇っており、タッチパネル主体のスマートフォンに対して「日本では普及しない」と懐疑的な見方も根強く存在していました。
そんな中、独占販売権を獲得したソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)の旗艦店であるソフトバンク表参道の前には、前日から1,500人を超える大行列が形成されました。テレビ各局の情報番組やニュース報道陣が殺到する中、日本テレビの取材クルーの前に現れたのが、鮮烈な赤いモヒカンヘアーにサングラス、黒のタンクトップを身にまとった男性でした。
レポーターから購入にかける意気込みを問われた際、彼はカメラを真っ直ぐ見据え、全身を激しく揺らしながらこう叫びました。
「世界の、世界の痛みを……乗るしかない、このビッグウェーブに」
このわずか数秒の映像が地上波で放映されるや否や、巨大掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」や黎明期のTwitter(現X)、ニコニコ動画などで爆発的に拡散。「ビッグウェーブ男」「ビッグウェーブさん」という愛称がつけられ、平成を代表するネットミームとしての地位を確立しました。