当時の大蔵省官僚たちは、東大法学部を首席クラスで卒業した日本最高峰の頭脳集団だった。彼らがなぜ、これほどまでに露骨な接待攻勢に身を任せてしまったのか。その背景には、当時の金融業界における「MOF担(モフたん)」と呼ばれる特殊な交渉役の存在があった。
民間金融機関は、大蔵省からの規制情報や検査情報をいち早く得るため、巨額の交際費を使って官僚たちを日常的に接待していた。官僚側もまた、「業界の実態を把握するための情報交換」という大義名分の下で、過剰なもてなしを当然のように受け入れていたのだ。この「持ちつ持たれつ」の密室関係が、モラルハザードを極限まで麻痺させていった。