「我法人」という表現自体が日本語として完全に破綻しているわけではありません。しかし、使ってよいシチュエーションが極めて限定的である点が一般にはあまり知られていません。
例えば、創立記念式典で理事長が全職員に向けて「我が法人が歩んできた半世紀の歴史を振り返り……」と語る場面や、社内報の巻頭言で「我が法人の未来を切り拓く」と鼓舞する場面では、「我が法人」という言葉は強い求心力と誇りを生み出す正当な表現となります。
ネット上の誤解として「法人組織には『弊社』のような謙譲語が存在しないため、我法人と呼ぶしかない」という言説が見られますが、これは完全な誤りです。「弊」という漢字は「へりくだる」「粗末な」という意味を持つ接頭辞であり、「弊法人」「弊団体」「弊組合」といった形で、法人格の種類を問わず正統な謙譲表現として機能します。