作者である鳥山明氏が描いたこの結末は、勧善懲悪の枠組みを超えた少年漫画の金字塔として評価されています。一般的なヒーローであれば、世界を脅かした魔王を打ち倒した際には「正義の勝利」や「悪への断罪」を口にするのが王道です。しかし、悟空の根底にあるのは正義の味方としての使命感以上に、「強い相手と全力で闘いたい」という純粋無垢なサイヤ人の本能と武道家としての探求心でした。
魔人ブウという敵は、フリーザのような支配欲やセルのような自己顕示欲すら持たない、純粋な破壊の化身でした。言葉も通じず、慈悲も通用しない相手だからこそ、悟空はその「圧倒的な強さ」そのものに敬意を抱いたのです。
鳥山氏の手によって描かれた悟空の穏やかな笑顔と親指を立てる仕草(サムズアップ)は、過酷な闘争の歴史を締めくくるにふさわしい爽やかさを残し、読者に「救い」と「未来へのワクワク感」を同時に提示しました。