彼の騎手人生を語る上で欠かせないもう一頭の名馬が、漆黒の馬体を持つ長距離砲、マンハッタンカフェだ。2001年の菊花賞と有馬記念を制し、翌年の天皇賞(春)をも連覇したこの名馬とのコンビは、圧倒的な強さと静かな凄みを放っていた。長距離戦における絶妙なペース配分と仕掛けのタイミングは、まさに真骨頂とも言える職人技だった。
そして、同じ時代を走り抜けた最大のライバルであり、盟友でもある武豊の存在を外すことはできない。競馬学校の同期としてデビューした二人は、常にお互いを意識し、互いの高みを目指して切磋琢磨してきた。華やかなスポットライトを浴び続ける武豊に対し、力強く実直に結果を出し続ける走法で対峙した。両者の激闘は、平成から令和へと続く日本競馬のゴールデンエイジを鮮やかに彩った。
「豊がいたからこそ、自分もここまで高められた」。ライバルへの敬意と絶対負けたくないという執念。二人がターフの上で見せたしのぎ削る攻防は、多くのファンを魅了し、日本中央競馬会が誇る数々の名勝負を生み出す原動力となった。