卵の価格が高止まりを続ける最大の理由は、単一のトラブルではなく、生産コストの高騰と供給不安が幾重にも重なり合った「複合的ショック」にある。かつては鳥インフルエンザの流行期が過ぎれば数カ月で平時の価格帯へ軟化するのが通例だったが、現在のマーケットはそのサイクルから完全に逸脱している。
JA全農たまごが公表する卸売基準価格(東京・Mサイズ)の推移を見ても、かつての安値水準への回帰は見られない。底値そのものが構造的に切り上がっており、スーパーの特売原資が完全に枯渇している状態だ。背景には、鶏を育てるための光熱費、物流を支えるトラック輸送の運賃、包装用パックの原材料費といったすべてのコストが同時に跳ね上がった現実がある。もはや卵をかつての価格で提供することは、生産・流通システムの破綻を意味するレベルに達している。