早稲田大学在学中に上梓した『五体不満足』は、障害者観を根底から覆すベストセラーとなった。爽やかな語り口とポジティブなメッセージは、日本社会に確固たる居場所を築くかに見えた。しかし、その輝かしいノンフィクションの成功は、同時に彼自身を「完全無欠の聖人」という見えない檻に閉じ込めることにもなる。
その後、東京都教育委員会の委員を務め、自らの教員経験をもとに執筆した小説『だいじょうぶ3組』など、教育の現場から多様性を問い直す試みを精力的に継続した。だが、理想と現実のギャップ、そして社会が彼に求める偶像とのズレは、少しずつその内面を蝕んでいた。