謎めいた文字列「xem bong da(セム・ボン・ダー)」の語源は、極めて日常的なベトナム語にあります。「xem」は「見る・観戦する」、「bóng đá」は「サッカー(球蹴り)」を指し、直訳すれば単なる「サッカー観戦」という意味に過ぎません。ベトナム国内ではフットボールが国民的熱狂を集める第一のスポーツであり、現地ファンが中継を探す際に最も頻繁に入力する常套検索クエリです。
なぜこの日常フレーズが、遠く離れた日本のサッカーファンの検索結果やSNSトレンドを侵食しているのでしょうか。背後には、ベトナムを拠点とする巨大な海賊版ストリーミング企業体・シンジケートの暗躍が存在します。代表的な違法配信ネットワーク群(過去に国際警察やAlliance for Creativity and Entertainment=ACEによる捜査対象となった組織など)は、世界各国の著作権保護シグナルを不正傍受し、無許可で自前のサーバーから再配信を行ってきました。
彼らは世界中のトラフィックを貪欲にかき集めるため、検索エンジンの盲点を突くブラックハットSEO施策を展開しています。日本国内の正規ライセンス料高騰により「サッカー 無料 ライブ」といった検索ワードの需要が膨れ上がった結果、シンジケートが量産した寄生型の日本語ページや、改ざんされた正規Webサイトの脆弱性に「xem bong da」を含むタグが埋め込まれ、目にする機会が劇的に増大したのが実態です。