一杯の完成度を決定づける最大の要素は、何と言ってもスープのコクと香りのレイヤーだ。西荻窪の名店群が共通して力を入れるのが、自社製あるいは特注の芝麻醤(チーマージャン)である。じっくりと焙煎された白胡麻や黒胡麻から生まれる濃厚な旨味が、ベースとなる鶏ガラや豚骨の清湯スープと溶け合い、重厚な口当たりを生み出す。
そこに鮮烈なアクセントを加えるのが、痺れる辛さと爽やかな香りが特徴の柑橘系スパイス、花椒(ホアジャオ)だ。ミリ単位で挽き具合を調整し、提供の直前に振りかけることで、立ち上る湯気とともに芳醇な香気があたり一面に広がる。甘み、コク、そして刺激的な痺れが三位一体となって押し寄せる感動は、一度体験すると病みつきになる。