テレビバラエティの枠を超え、名バイプレイヤーとして映画界でも絶大な存在感を放った谷啓さん。その代表作として真っ先に挙げられるのが、国民的人気映画シリーズ『釣りバカ日誌』の佐々木和男役です。
主人公・浜崎伝助(ハマちゃん=西田敏行さん)の直属の上司である佐々木課長(後に営業部長、常務、最後は顧問へと昇進)は、真面目で小心者、常に会社の上層部と奔放な部下の板挟みになって胃を痛める中間管理職の典型でした。鈴木建設の社長であるスーさん(三國連太郎さん)とハマちゃんの秘密の関係に振り回され、慌てふためいて胃腸薬を飲む仕草はシリーズ屈指のお約束シーンとして愛されました。
ただ怒鳴るだけの上司ではなく、どこか憎めない人間味と可愛らしさを滲ませる演技は、谷啓さんの人柄そのものが投影されていたと言えます。西田敏行さんや三國連太郎さんとの掛け合いはアドリブも多く、日本の喜劇映画史に残る名演として語り継がれています。