夏八木勲さんの死因となったのは膵臓癌(すいぞうがん)でした。病魔が発覚したのは2012年の秋、定期検診の際でした。すでに進行した状態であり、医師からの告知を受けた際、夏八木さんはショックを受けるどころか「残された時間でどれだけの仕事ができるか」を真っ先に考えたといいます。
当時、夏八木さんは映画やドラマの撮影スケジュールを多数抱えていました。「現場に迷惑をかけたくない」「同情されたくない」という強い信念から、病気の事実を公表せず、ごく一部の関係者と家族だけに打ち明けました。激しい痛みに耐えながらロケ地へと向かう夏八木さんを、妻と娘は涙をこらえて送り出し、自宅では全力で体調回復のためのケアを行いました。家族の深い理解と支えがあったからこそ、夏八木さんは病気であることを周囲に悟らせず、鬼気迫る演技をフィルムに刻み続けることができたのです。