長年、東京のヴィンテージシーンを牽引してきたのは間違いなく高円寺と下北沢だった。しかし現在、その風景は変容している。再開発による賃料高騰と、インバウンド観光客の急増。かつて若者が「自分だけの一着」を掘り当てるために通った街は、均質化されたチェーン店やライト層向けのショップで埋め尽くされつつある。
その煽りを受ける形で、嗅覚の鋭い個人ディーラーやインディペンデントな店主たちが目をつけたのが池袋だった。山手線、西武線、東武線、地下鉄が交差する圧倒的なアクセスの良さ。それでいて、駅からほんの数分歩けば、昭和の残り香を漂わせる手頃な坪単価の雑居ビルがいくらでも転がっている。家賃を抑えられる分、オーナーは妥協のない仕入れに資金を回せる。この極めてシンプルな経済原理が、濃密なショップを池袋へと手繰り寄せた。