二人の出会いは1977年、CMの撮影現場だった。当時、カネボウのキャンペーンガールとして一躍脚光を浴びていた夏目雅子と、CMディレクターとして現場を仕切っていた伊集院静。惹かれ合うのに時間はかからなかった。しかし、そこには大きな障壁が存在していた。当時の伊集院氏には妻と子供がおり、二人の関係は「不倫」としてスタートせざるを得なかったのだ。
過熱するマスコミ報道と世間からの苛烈な批判。彼女の家族もまた、この危険な恋に猛反対した。それでも夏目雅子の情熱が冷めることはなかった。女優としての地位を失うリスクを冒してまで、彼女は伊集院氏との愛を貫く道を選んだ。7年におよぶ愛憎と葛藤の末、1984年に二人はようやく正式な結婚を迎える。世間の偏見を跳ね返した末に手に入れた、待望の平穏だった。