大相撲における八百長疑惑の根底には、長年「星まわし」と呼ばれる独特の貸し借りシステムが存在した。本場所は15日間で行われる。力士にとって「8勝7敗」の勝ち越しと「7勝8敗」の負け越しとの間には、給与、地位、待遇面で天と地ほどの差が生じる。特に十両と幕下の境目は、プロとして給料が出るか否かの生存ラインだ。
この極限状態が生み出したのが、勝ち越しがかかった力士に白星を譲り、次の機会にそれを返してもらう互助関係だった。千秋楽において7勝7敗の力士が8勝6敗の力士と対戦した際、勝率が異常に高くなるという統計的データは、国内外の経済学者からも注視されてきた。個人の悪意というよりは、地位を守るための構造的システムとして機能していた側面を否定することはできない。