小澤摩純の創作活動の原点は、女子美術大学版画科での学びにある。版画という技法は、彫る・刷る・重ねるという工程を経て一枚の作品を生み出す、極めて物質的かつ計画的な芸術だ。この訓練が、後の彼女のイラストレーションや絵本制作における緻密な構図設計と色彩感覚の基礎を形成した。
版画科出身のアーティストは、色の重なりや質感の表現に独特の感性を持つことが多い。小澤の作品にも、版画的なレイヤー構造や、インクの滲みを思わせる柔らかな色調が見られる。彼女は大学卒業後、純粋美術としての版画制作を続けながら、1990年代に入ると児童書や商業デザインの世界へと活動の幅を広げていった。