もう一つ、見過ごせないのが肉体的な限界だ。青木隆治の代名詞である「七色の声」は、喉に極限の負担をかけることで成り立っていた。特に女性歌手、とりわけ美空ひばりのハイトーンや独特の節回しを再現するには、声帯の超人的なコントロールが必要とされる。
「毎週のようにテレビで声を張り上げれば、いつか声帯を壊す」。そんな危機感が彼の中にあったとしても不思議ではない。実際に、一時的に喉の不調を訴えて活動をセーブしていた時期もあり、テレビでの「消費」を避けるために、出演本数を意図的に絞り込んだというのが現実的な見方だ。