邪王炎殺黒龍波が30年以上にわたり語り継がれる最大の要因は、圧倒的なビジュアルに加えて、思わず口ずさみたくなる秀逸な台詞回しにあります。
邪王炎殺黒龍波の詠唱セリフや前後のやり取りは、漫画史に残る名場面として知られています。是流戦での「お前は『死ね』と命令されて そのまま死ねるか?」「見せてやる 極めた黒炎の力をな!」、そして武威戦での「右腕の包帯を解いたのは 貴様が初めてだ」「ククク… もう後戻りはできんぞ。巻き方を忘れちまったからな」といった言葉の数々は、研ぎ澄まされた緊迫感とダークヒーローとしての魅力を完璧に表現していました。
この演出の元ネタや由来について、冨樫氏は当時のインタビューや設定集において、オカルトやダークファンタジーへの深い造詣、そして「術者の肉体を蝕む禁忌の力」という伝奇小説の手法を取り入れたことを示唆しています。「右腕に封印された暴走する力」「包帯を解くことで解放される魔力」「額の第三の目(邪眼)」といった意匠は、1990年代以降のサブカルチャーにおけるいわゆる「中二病」の原風景を形作り、後発のバトル漫画に決定的な影響を与え続けました。