1階席で最も理想的な視界を誇るのが、伝統的に「とちり席」と呼ばれるエリアです。いろは順で数えて「と・ち・り」に該当する7列目、8列目、9列目(劇場によっては10〜11列目を含む)のセンターブロック(17番〜28番)を指します。舞台面と観客の視線(アイレベル)が自然に交差し、見上げるストレスもなければ、舞台奥を見下ろして平面的に見えることもありません。
一方で、1階席を狙う際に絶対に知っておくべき盲点が「床の傾斜(勾配)」です。新橋演舞場の1階席は、前方の1列目から6列目まではほぼフラットであり、7列目以降から緩やかな傾斜が始まります。しかし、多目的ホールや映画館のような急勾配のスロープではないため、前の座席に座高の高い人物や大きなヘアスタイルの観客が座ると、舞台中央の視界がピンポイントで遮られる「頭被り」が発生します。
花道横(14番〜16番前後)の見え方は、花道での名場面を間近で体感できる唯一無二の魅力を持っています。歌舞伎でいえば『勧進帳』の弁慶の飛び六方、エンタメ演劇であれば主役の見せ場が目の前で繰り広げられます。ただし、舞台下手奥(左奥)のセットや演技は、花道上に役者が立っている間は完全にブラインドとなるため、舞台全体を物語として満遍なく鑑賞したい場合はセンターブロックの8〜11列目を選択するのが最も堅実です。