新宿西口音楽館の現在を語る上で避けて通れないのが、音楽・芸能カルチャーを取り巻くコンプライアンスの劇的な変化です。ネット上の噂では「大手レコード会社に潰された」「違法な品を取り扱っていたから摘発された」といった極端な憶測が散見されますが、これは半分正しく、半分は誤解です。
1990年代から2000年代初頭の西新宿は、海外直輸入のプライベート盤や未発表ライブ音源、非公式の生写真(いわゆる「パチ写真」や出待ち写真)がグレーゾーンのまま店頭に並ぶ土壌がありました。しかし、2010年代以降、肖像権および著作権の保護意識は急速に厳格化。公式グッズのみを厳選して扱う正規の中古買取店への純化が求められるようになりました。
さらに大手芸能事務所による知的財産の厳重管理が進み、フリマアプリ事業者への監視要請やパトロールが常態化。かつてのようなアングラ感と熱気で成立していた店舗形態は、コンプライアンスと商業倫理の観点からビジネスとしての継続が極めて困難になったのが構造的な真実です。