制度的な前進が見られる一方で、当事者が直面する生活上の壁は依然として厚い。特に、法的な婚姻関係が認められないことによる不利益は多岐にわたる。パートナーの医療同意権が得られないリスクや、相続権の欠如、公営住宅への入居制限など、憲法が保障する「法の下の平等」をめぐる議論は現在も熱を帯びている。
職場や教育現場における目に見えにくい差別や偏見も根深い。アウティング(本人の同意なく公表すること)への不安や、不適切な言動による精神的負担は、当事者のメンタルヘルスに深刻な影響を与えている。多様性を掲げる声明が単なるポーズにとどまらず、現場での実質的な安全を担保する環境づくりが求められている。