神社の奥へと進むと、無数に奉納された絵馬が風に揺れている。そこに書かれているのは、観光気分の言葉ではない。「抗がん剤治療がうまくいきますように」「どうか母の病巣が消えますように」。生々しく、切実な叫びが並ぶ。
行田の八幡様が「封じの宮」と称される由縁は、古来より悪霊や病魔を退散させてきた歴史に根ざしている。癌封じ、難病封じ、さらには認知症予防を願う「ぼけ封じ」や、子どもの夜泣きを鎮める「虫封じ」まで、人生の節目で直面する苦難を断ち切る神徳が信じられてきた。遠方で直接参拝できない信者のために用意された郵送による特別祈祷も、深刻な悩みを抱える全国の人々にとって大きな支えとなっている。