なぜ人間は失恋や苦難の時期に『Moon Crying』のような痛切な楽曲を求めるのでしょうか。音楽心理学における「カタルシス効果(感情の浄化作用)」の観点から見ると、本作は極めて理にかなった楽曲構成を持っています。
悲しい気分のときに明るい曲を無理に聴く「同質性の原理」に反するアプローチよりも、自らの苦痛や悲哀に極限まで寄り添う短調の旋律と真情の吐露を聴くほうが、脳内のストレスホルモンを減少させ、精神的な安定を取り戻しやすいとされています。『Moon Crying』は、誰にも言えない孤独を抱えるリスナーにとっての「安全な感情のシェルター」として機能しているのです。