品薄の主因としてネット上で真っ先に槍玉に挙げられるのがマスク買占め真相に関する噂です。「組織的な転売グループがワゴンごと買い占めている」「海外へ不正輸出されている」といった言説が飛び交っていますが、専門機関の流通調査やオークションサイトの動向を追跡すると、現実は大きく異なります。
大手フリマアプリ各社による転売規制やモニタリング網が敷かれているため、利益率の低いマスクを組織的に買い占める業者は限定的です。では、なぜユニチャームマスク品切れ(超快適、超立体など)がこれほど顕著に起きているのでしょうか。
その本質は、消費者の「指名買い集中」と「日常的な2〜3箱買い」の集積です。ユニチャームに代表される国内トップブランドは、耳紐の柔らかさ、肌触り、フィルター気密性において極めて高い信頼を獲得しています。花粉やウイルスへの警戒感が高まった際、消費者は「せっかく付けるなら実績のある定番品を選びたい」と同一商品に集中します。仮に1店舗あたり1日100人の来店客が、普段は買わない「念のための1箱」を余分にレジへ運ぶだけで、日販数百箱の棚は数時間で空になります。悪意ある買占めではなく、数万人の善意の防衛心理が引き起こした「集積型の在庫蒸発」こそが真相です。