一般的な会話では同列に扱われがちな「婿養子」と「婿入り」ですが、日本の民法上では明確に異なる法的手続きです。その本質的な違いは、「妻の親と法律上の養親子関係を結ぶかどうか」に集約されます。
「婿入り」は法律上の用語ではなく、一般に婚姻届を提出する際に「妻の氏(苗字)」を選択する婚姻形態を指します。この場合、夫は妻の苗字に改姓しますが、妻の親とは姻族関係になるのみで、法律上の親子関係は発生しません。したがって、妻の親が亡くなっても夫自身に財産の直接的な相続権はありません。
一方、「婿養子」は妻との婚姻と同時に、妻の親と「普通養子縁組」を結ぶ形態です。これにより夫は妻の親の法的な子ども(養子)となり、実子と全く同一の法定相続分(第1順位の相続権)を獲得します。苗字は原則として養親の家名を継ぐ形となりますが、戸籍上は養親の戸籍へ入籍した上で、夫婦の新たな戸籍を編製する手続きを踏みます。