これほど世論の賛成割合が高く経済界からの要請もあるにもかかわらず、なぜ法改正は見送られ続けてきたのでしょうか。最大の障壁となっているのが、与党・自民党内の根強い意見対立です。党内の保守派議員を中心に「日本の伝統的な家族観が損なわれる」「夫婦同姓こそが絆の象徴である」とする慎重論が根強く、議員連盟間での主導権争いが合意形成を阻んできました。
また、司法の場における最高裁の判断も政治の停滞に影響を与えてきました。最高裁大法廷は2015年および2026年の決定において、現行の民法750条(夫婦同姓の規定)を「合憲」とする判断を下しています。ただし、裁判官の補足意見では「制度のあり方は国会で議論されるべき事柄である」と言及されており、司法が合憲としたからといって法改正が不要というわけではありません。違憲判決が出ない限り抜本的な法改正に踏み切りにくい政治の力学が、30年近く導入が見送られてきた決定的な要因です。