塩崎顕の演技論は独特だ。メソッド演技を追求するタイプでもなければ、即興を重視するタイプでもない。彼は「役を生きる」という言葉を使う。
役作りのために極端な行動をすることはない。体重を大幅に増減させたり、何ヶ月も特定の職業に就いたりはしない。その代わり、彼は観察する。街を歩く人々を、電車に乗る乗客を、カフェで談笑する人々を。
「人間を観察することが一番の勉強」と彼は言う。人間の仕草、話し方、表情の変化。日常の何気ない瞬間にこそ、真実がある。その真実を掬い取り、役に反映させる。それが塩崎流の役作りだ。
共演者から見た塩崎顕
共演した若手俳優たちは、口を揃えて「勉強になる」と言う。セリフの間の取り方、相手の演技への反応、カメラを意識しない自然体。すべてが教科書になる。
しかし塩崎は決して教えない。ただ黙々と自分の役を演じるだけだ。それが結果的に、最高の教材となっている。背中で語る。それが彼のスタイルだ。