家庭料理の現場やSNS上では、「塩麹を使うと中まで火が通る前に表面だけが真っ黒に焦げてしまう」「タレが苦くなって台無しになった」という悲鳴が頻繁に聞かれます。塩麹に含まれる糖分(ブドウ糖)とアミノ酸は、加熱によって香ばしさを生むメイラード反応を起こしやすい反面、非常に焦げやすい性質を持っています。
フライパン調理において焦げ付きを完璧に防ぐ技術は、加熱前の「麹の拭き取り」と「弱火・蒸し焼き」の2点に集約されます。
「塩麹を拭き取ると味が薄くなるのでは」と懸念する声がありますが、数時間漬け込んだ時点で酵素と塩分はすでに肉の深部まで十分に浸透しています。表面に残った余分な麹の粒をキッチンペーパーで軽く押さえて拭い取ることが、焦げを防ぐ最大の防御策となります。
焼き方の手順は明快です。フライパンに油を引き、皮目(または削ぎ切りの片面)を下にして並べたら、火加減は徹底して「弱中火から弱火」を維持します。チリチリと音がしてきたら酒または水大さじ1をフライパンの縁から回し入れ、即座に蓋をして約4〜5分間蒸し焼きにします。蒸気で包み込むことで内部までじんわり熱が通り、水分を逃しません。裏返した後は蓋を外し、弱火で1〜2分水分を飛ばす程度に加熱し、最後は火を止めて余熱で中心まで熱を落ち着かせます。