臨床の現場ですぐさまカルテ展開できるよう、標準的な腰椎圧迫骨折における看護計画(看護診断:急性疼痛、身体可動性の障害、廃用症候群リスク状態)の具体項目を網羅しました。
1. 観察計画(OP:Observation Plan)
- 疼痛の評価:NRS(Numerical Rating Scale)やフェイススケールを用いた強度の数値化、安静時痛と動作時痛の差異、放散痛の有無。
- 下肢神経症状・麻痺の推移:下肢のしびれ感、知覚低下(大腿前面〜足背・足底のデルマトーム確認)、徒手筋力テスト(MMT:特に前脛骨筋や母趾伸筋の筋力低下の有無)。
- 膀胱直腸障害の有無:排尿困難、尿閉、失禁、残尿感、排便状況の確認(馬尾症状の早期発見)。
- バイタルサインと循環動態:血圧変動、起立性低血圧の有無、脈拍、呼吸状態、SpO2。
- コルセット装着部の皮膚状態:腸骨稜や仙骨部、肋骨弓周囲の発赤・皮膚剥離・褥瘡形成の有無。
- 精神状態・意欲の観察:せん妄の兆候、抑うつ傾向、離床に対する意欲と恐怖心の程度。
2. 援助・ケア計画(TP:Treatment Plan)
- 計画的・予防的な疼痛管理:離床訓練や体位変換の約30分前に指示薬を投与し、血中濃度がピークに達するタイミングでケアを実施する。
- 「丸太転がし法(ログロール法)」による体位変換:脊椎の回旋・前屈を防ぐため、肩・腰・膝を一直線に保ち、看護師が介助して一塊として側臥位にする。
- コルセットの適正装着:起き上がる前にベッド上(仰臥位)で確実に装着し、緩みやズレがないことを確認してから端座位へ誘導する。
- 段階的離床プログラムの推進:ベッド上ギャッジアップ30度→60度→端座位(足底を床につける)→立位保持→歩行器歩行へと、バイタルと顔色を見ながらステップアップする。
- 深部静脈血栓症(DVT)予防:弾性ストッキングの着用、間欠的空気圧迫装置の導入、ベッド上での足関節自動・他動運動(底背屈運動)の励行。
3. 教育・指導計画(EP:Education Plan)
- 危険肢体の回避指導:背骨を深く曲げる動作(前屈)、重いものを持ち上げる動作、身体を強くねじる動作の禁止を本人・家族へ説明する。
- 正しい起き上がり動作の習得:「仰臥位から直接起き上がる」のではなく、「一度側臥位になり、手でベッド柵やマットレスを押しながら脚を下ろして起き上がる」動作を指導する。
- コルセット着脱ルールの周知:「臥床時(睡眠時)は外し、起き上がる前には必ず横になったまま着用する」手順の徹底。
- 骨粗鬆症治療の継続指導:処方された骨形成促進薬や骨吸収抑制薬、ビタミンD製剤の内服・自己注射の重要性と、骨折連鎖(二次骨折)の危険性を啓発する。
- 在宅環境整備と退院指導:ポータブルトイレの活用、床の段差解消、手すりの設置など、転倒を再発させない居住環境づくりをケアマネジャーと連携して進める。