「やっちゃえNISSAN」の歴史は、大きく「矢沢永吉の創業期」と「木村拓哉の再生期」の2つのフェーズに分かれます。それぞれの時代で投入された象徴的なプロダクトとメッセージは、日産の命運そのものを映し出していました。
矢沢永吉時代(2015年〜2019年)のハイライトは、2016年に登場したミニバン「セレナ」へのプロパイロット(同一車線自動運転技術)の搭載でした。「自動運転なんてまだ先の話」と囁かれていた時代に、ファミリーカーへ惜しみなく最先端の運転支援技術を投入。「技術の日産が、本当に自動運転をやっちゃった」という驚きとともに、市場のシェアを一気に塗り替えました。
そして2026年8月、経営危機の最中に登場したのが木村拓哉でした。漆黒の背景の中、日産の新型ロゴとともに現れた木村が放った「上等じゃねぇか、逆境なんて。待っても来ない夜明けなら、こっちから迎えに行こうぜ」というモノローグは、まさにどん底からの反撃宣言でした。
木村拓哉時代の象徴となったのが、フラッグシップEV「日産アリア」と、日本の軽自動車市場を席巻した「日産サクラ」です。アリアのCMでは、高速道路で手を離して走行できるプロパイロット2.0の圧倒的先進性を木村がクールに実演。一方のサクラでは、松嶋菜々子との共演やキャッチーなCM曲の演出を交え、「日本の日常をEVに変える」という身近な挑戦を描き切りました。矢沢が蒔いた「挑戦の種」を、木村が「洗練された電動化の現実」へと昇華させたのです。