もしファイナルコールのアナウンスに気付かず、搭乗口の閉鎖までにゲートへ到達できなかった場合、一体どのような事態が発生するのでしょうか。
まず前提として、現代の定期便旅客機が個人の遅刻を理由に出発を待つことは原則としてありません。航空会社は国土交通省や国際航空運送協会(IATA)から定時運航率を厳しく評価されており、1本の遅延が後続便や滑走路の割り当てに甚大な連鎖的影響を及ぼすためです。
さらに深刻なのが「預け手荷物」の問題です。航空業界にはPPBM(Positive Passenger Baggage Matching:旅客手荷物一致照合)と呼ばれる厳格な国際保安ルールが存在します。これは「搭乗していない乗客の荷物だけを飛行機に乗せて運航してはならない」という規則で、過去の航空テロ防止策として世界中で義務付けられています。
乗客が乗り遅れると、貨物室に積み込まれた膨大なコンテナの中から該当するスーツケースを特定し、機外へ取り降ろす作業(荷降ろし作業)が緊急で行われます。この作業には15分から30分以上の出発遅延を要することが多く、航空会社や他の乗客に多大な迷惑をかけるだけでなく、状況によっては損害賠償やペナルティの手続きが発生するリスクも孕んでいます。