SNSやネット上の簡易動画では「耕して盛るだけ」と簡単に紹介される畝作りですが、現場では見落とされがちな落とし穴がいくつも存在します。情報に振り回されて失敗する典型例を検証します。
第1の誤解は、「雨が降った翌日の柔らかい土は耕しやすい」という錯覚です。水分を大量に含んだ粘土質の土をクワで耕したり踏み固めたりすると、土中の空気が完全に押し出され、乾燥した際にレンガのようにガチガチに固まる「練り土現象」を引き起こします。土を握って団子を作り、指で突いてホロリと崩れる程度の水分状態(手で触れて湿り気を感じる程度)になるまで、雨後2〜3日は作業を待つのがプロの鉄則です。
第2の盲点は、「畝の角を切り落とさず放置すること」です。四角く成形した畝の肩(エッジ部分)は、強い風雨に晒されると一気に崩落し、マルチシートを留めていた土ごと吹き飛ばされる原因になります。仕上げの段階で畝の肩をほんの少しなだらかに丸めておく「面取り」を行うだけで、畝の耐久性は格段に向上します。
第3に、「堆肥の未熟性」による失敗です。ホームセンターで安価に販売されているバーク堆肥や牛糞の中には、発酵が不完全なものが混ざっているケースがあります。これを畝の中にすき込むと、地中で二次発酵が始まり、熱と有毒なガス(アンモニア等)が発生して作物の根を全滅させます。堆肥を選ぶ際は、嫌な悪臭がせず、森林の腐葉土のような香りがする「完熟」表示の確実な製品を選ぶことが防衛策となります。