野村萬斎の活動領域は、年を追うごとにその深みとスケールを増しています。主宰する「万作の会」における古典狂言の全国巡回公演はもちろんのこと、石川県立音楽堂の邦楽監督や世田谷パブリックシアターでの長年の芸術監督経験を生かした舞台演出など、プロデューサー・芸術監督としての手腕は円熟期を迎えています。
2026年の公式発表スケジュールを見ても、東京・国立能楽堂での定期公演をはじめ、シェイクスピア劇などの西洋戯曲と古典能楽の身体技法を融合させた新作舞台の企画など、多忙を極める日々が続いています。かつて文化庁芸術祭大賞や紀伊國屋演劇賞など数々の栄冠を手にしてきた萬斎ですが、60歳を迎えてなお、舞台上での跳躍や声の張りに一切の衰えを感じさせません。
同世代の演劇関係者は「萬斎氏の凄みは、古典を美術館の展示物にせず、いま生きている同時代演劇として観客に突きつけるエネルギーにある」と語ります。狂言の普及に生涯を捧げる父・野村万作の背中を追いながら、自身もまた次世代へ古典の魅力を手渡すべく、教育普及プログラムや初心者向け解説付き公演にも惜しみなくエネルギーを注いでいます。