RADWIMPSの歴史を紐解く上で、野田洋次郎の実際の恋愛体験がもたらした影響は計り知れない。初期の代表曲「有心論」や「me me she」などは、当時交際していた女性との痛切な別れや、彼女という存在が己の人生をいかに変えたかが生々しく描かれている。「彼女が死のうとした瞬間に僕の命を繋ぎ止めた」という趣旨の壮絶な歌詞世界は、聴き手の心を激しく揺さぶった。
やがてその個人的な愛の記憶は、映画監督・新海誠との運命的な出会いによってスケールを広げることとなる。『君の名は。』の劇伴制作において、野田は個人の情念を超えた、時空を超える壮大な愛の形を音楽へと昇華させた。一人の女性に向けられた濃密な感情のリアリティがあったからこそ、世界中の観客が感情移入できる普遍的な名曲群が誕生したのだ。