近年のコンサートプログラムにおいて際立つのは、演目の著しい広がりだ。得意とするショパンやリストといったロマン派の王道はもちろんのこと、近年ではスクリャービンやラフマニノフ、さらにはドビュッシーやラヴェルといった近代・印象派の作品でも圧巻の解釈を見せている。
特にスクリャービンのソナタで見せる神秘的な色彩感は、従来のイメージを大きく塗り替えるものだ。激しさと静寂が表裏一体となった音世界は、リスナーに強烈なカタルシスをもたらす。挑戦を恐れず、常に自らの限界領域を押し広げようとする姿勢こそが、彼の音楽を常にフレッシュに保つ原動力だ。