彼の演技力の地盤を辿ると、母校である桐朋学園芸術短期大学での濃密な学生時代に行き着く。本格的な演劇教育を受けたこの地で、彼は演劇の構造や役作りに対する基礎を徹底的に叩き込まれた。天才的な直感型に見えて、実は極めてロジカルかつ緻密に役を構築するプレイスタイルは、この学生時代の訓練に由来している。
そして語る上で避けて通れないのが、母であり大女優の第一人者である高畑淳子の存在だ。偉大な母の影は時に重圧となり、時に比較の対象とされてきた。だが現在の彼は、その血脈を己の個性に昇華しつつある。偉大な母への敬意を胸に秘めつつも、「高畑淳子の息子」というレッテルを完全に振り払い、一人の個人の表現者として板の上に立っているのだ。