2017年4月に都内で行われた贈呈式の壇上で、星野源氏が語った受賞スピーチは、会場にいた関係者の心を打っただけでなく、後にSNSやファンの間で「表現者の救済の言葉」として広く拡散されました。
スピーチの中で星野氏は、自身のキャリア初期に抱えていた深刻な葛藤を赤裸々に吐露しました。かつて周囲の大人たちから「音楽をやるのか、役者をやるのか、文章を書くのか、どれか一つに絞らなければ大成しない」「中途半端な人間になるぞ」と幾度となく忠告され、深く傷ついてきた過去を明かしたのです。その上で、星野氏は声を詰まらせながら次のように語りました。
「伊丹十三さんという偉大な先達から、『そのままでいいんだよ』『全部やっていいんだよ』と背中をポンと押してもらえたような気がします。この賞をいただいたことで、自分の居場所を初めて肯定された思いです」。
この告白を聞いた館長の宮本信子氏が、優しく頷きながら涙ぐむ姿は、集まった報道陣の胸を強く打ちました。当時、Twitter(現X)やカルチャー系コミュニティでは、星野氏のこの言葉に対して熱狂的な共感が巻き起こりました。「何か一つを極めなければ失格とされる日本社会で、このスピーチにどれほど救われたか」「伊丹十三と星野源が並び立つ姿を見て鳥肌が立った」といった書き込みが相次ぎ、単なる受賞報道を超えた「生き方の肯定」として語り継がれることになったのです。