意匠設計者としてのキャリアを語る上で避けて通れないのが、「所属する組織の形態による圧倒的な待遇格差」です。同じ意匠設計という職種であっても、就職先によって年収や仕事の規模感は大きく異なります。
大手組織設計事務所(日建設計、日本設計、三菱地所設計など)
超高層ビルや空港、スタジアムなどの巨大プロジェクトを手がけ、意匠・構造・設備・都市計画の各専門部隊が社内に揃っています。30代で年収700万〜900万円、40代の管理職クラスでは1,000万〜1,300万円前後に達するケースも多く、業界内ではトップクラスの給与水準と福利厚生を誇ります。
スーパーゼネコン設計部(鹿島、大林、清水、大成、竹中)
自社施工を前提とした「設計施工一貫方式」の強みを持ち、現場の施工部隊や積算部門とダイレクトに連携しながら実務を進めます。給与水準は総合建設業の給与体系に準拠するため極めて高く、30代前半で年収800万円を超え、ボーナス支給額も手厚いのが特徴です。
アトリエ系設計事務所
著名建築家が主宰する事務所で、個性的で尖った住宅や美術館などを手がけます。デザインの裁量が大きく、建築家としての思想をダイレクトに学べる一方、給与水準は極めて厳しい現実があります。20代の新卒〜若手では年収250万〜350万円程度にとどまるケースも珍しくなく、「将来独立するための修行道場」と割り切って働く覚悟が求められます。
近年では、アトリエ事務所での過密労働に対する世間の批判や若者の価値観変化を受け、給与体系の見直しや労働時間管理を進めるアトリエも増えていますが、組織設計事務所やゼネコンとの経済的格差は依然として存在しています。