鼻や気道に明らかな異常がないにもかかわらず苦い痰が出る場合、見落とされやすいのが逆流性食道炎(胃食道逆流症:GERD)です。胃と食道を隔てる下部食道括約筋の機能が低下することで、強酸性の胃酸や消化液が食道、さらには喉(咽喉頭)まで逆流してきます。
胃酸そのものは強い酸味を持ちますが、十二指腸液に含まれる「胆汁酸」まで一緒に逆流してくると、喉の奥に強烈な苦味が広がります。この逆流刺激から粘膜を守る防御反応として、咽頭から多量の粘液(痰)が分泌され、「苦い痰が絡む」という症状に結びつきます。
逆流性食道炎による苦い痰には、以下のような特徴的な生活パターンが見られます。
・朝起きた瞬間に口や喉の奥が苦い(就寝中の水平姿勢で逆流しやすいため)
・食後や前かがみの姿勢をとった際に胸焼けや苦味が強まる
・痰が絡むだけでなく、乾いた咳が長期間続く
咳が長引くため呼吸器疾患と誤認されがちですが、消化器からのアプローチで劇的に改善する例が非常に多い病態です。