世界共通の標準として私たちが何気なく使っている「西暦」だが、その土台が完成したのは1582年のことだ。ローマ教皇グレゴリウス13世によって制定された「グレゴリオ暦」は、それまで使われていたユリウス暦に生じていた約10日のズレを補正し、天文学的な太陽の運行と暦の巡りを極限まで一致させた画期的な改革だった。
日本では明治5年(1872年)に太陰太陽暦から太陽暦(グレゴリオ暦)へと移行し、現在に至る。天体の運行や閏年(うるうどし)の厳密な計算は、現在では国立天文台が暦象年表として発表し、国家の公式な暦として管理されている。教皇が命じた天文学の探求が、400年以上の時を経て極東の島国のスマートフォンの時計や運行ダイヤの基盤を支え続けている事実は極めて興味深い。